2024年6月に成立した改正入管法により、現行の技能実習制度が廃止され、新たに「育成就労制度」が2027年4月1日に開始されます。
この記事では、育成就労制度の仕組み・技能実習との違い・企業が今から準備すべきことを解説します。
育成就労制度とは
育成就労制度は、外国人を「育成」し、特定技能1号の水準まで成長させることを目的とした新しい在留資格制度です。
技能実習との最大の違い
| 項目 | 技能実習(現行) | 育成就労(2027年〜) |
|---|---|---|
| 目的 | 技術移転(国際貢献) | 人材育成・人材確保 |
| 転籍(転職) | 原則不可 | 一定条件で可能 |
| 特定技能への移行 | 制度間の接続が不十分 | 特定技能1号への移行を前提 |
| 対象分野 | 90職種165作業 | 特定技能の分野に合わせて再編 |
| 在留期間 | 最長5年 | 3年(+特定技能へ移行) |
| 監理団体 | 監理団体 | 監理支援機関(要件厳格化) |
| 送出機関 | 規制が不十分 | 二国間取決めで適正化 |
なぜ技能実習は廃止されるのか
技能実習制度は「国際貢献」を建前としながら、実態は「労働力確保」のために使われてきました。
以下のような問題が指摘されてきました。
- 転職(転籍)が原則認められず、劣悪な労働環境から逃げられない
- 失踪者の増加(2023年は9,753人)
- 監理団体の監督不足
- 送出機関への高額な手数料負担(借金を背負って来日)
育成就労制度は、これらの問題を解決するために設計されています。
育成就労制度の主なポイント
1. 転籍(転職)が認められる
育成就労では、以下の条件を満たせば本人の意思による転籍が可能になります。
- 同一の受入れ機関で1年以上就労していること(当分の間は「2年以上」の経過措置あり ※要確認)
- 技能検定基礎級等の試験に合格していること
- 転籍先が同一の育成就労産業分野であること
- 一定水準以上の日本語能力があること(JLPT N5等)
2. 特定技能1号への移行が前提
育成就労制度は最長3年の在留期間で、その後は特定技能1号への移行を目指します。
育成就労(3年)→ 特定技能1号(5年)→ 特定技能2号(無期限)
→ 永住許可
これにより、外国人が日本で長期的にキャリアを築ける道筋が明確になります。
3. 対象分野は特定技能に合わせて再編
技能実習の「90職種165作業」は、特定技能の分野に合わせて再編されます。
主な対象分野(予定):
– 介護
– ビルクリーニング
– 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
– 建設
– 造船・舶用工業
– 自動車整備
– 航空
– 宿泊
– 農業
– 漁業
– 飲食料品製造業
– 外食業
4. 監理団体は「監理支援機関」に
現行の監理団体は、より厳格な要件を満たす「監理支援機関」に再編されます。
主な変更点:
– 外部監査人の設置が義務化
– 受入れ機関と密接な関係にある団体の排除
– 転籍支援の義務化
企業が今やるべき3つの準備
1. 現行の技能実習生の在留状況を棚卸し
2027年の制度開始に向けて、以下を確認しましょう。
- 現在受け入れている技能実習生の在留期限
- 技能実習→育成就労への移行スケジュール
- 特定技能への移行を希望する実習生の把握
2. 特定技能の受入れ体制を整備
育成就労は特定技能1号への移行を前提としているため、特定技能の受入れ体制がない企業は早急に整備が必要です。
- 特定技能所属機関としての届出
- 支援計画の策定(または登録支援機関への委託)
- 社内の外国人受入れ体制の見直し
3. 助成金の活用を検討
外国人材の育成・定着には、以下の助成金が活用できます。
- 人材開発支援助成金(教育訓練・研修)
- キャリアアップ助成金(正社員化・処遇改善)
- 雇用調整助成金(教育訓練加算)
よくある質問(FAQ)
- 現在の技能実習生はどうなりますか?
- 経 過措置が設けられる予定です。制度開始時に在留中の技能実習生は、残りの在留期間中は現行制度のまま活動できます。その後、育成就労または特定技能への移行が想定されています。※要確認
- 育成就労の在留期間は?
- 最 長3年です。この期間中に技能検定・日本語試験に合格し、特定技能1号への移行を目指します。
- 中小企業でも受け入れられますか?
- 受 け入れ可能です。ただし、監理支援機関を通じた受入れが原則となり、要件が厳格化されるため、信頼できる監理支援機関の選定が重要になります。
- 今から準備を始めるべきですか?
- はい、今から始めるべきです。 2027年の制度開始に向け、特定技能の受入れ体制整備や、既存の技能実習生の移行計画策定には時間がかかります。
まとめ
育成就労制度は、技能実習制度の問題点を解消し、外国人材の「育成」と「定着」を両立させるための新制度です。
企業にとっては:
– 転籍が認められる → 選ばれる企業になるための労働環境整備が重要
– 特定技能への移行が前提 → 受入れ体制の整備が急務
– 2027年開始 → 今から準備を始めるべき
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