技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」の施行日が、2027年4月1日(令和9年4月1日)に正式決定しました。
令和7年(2025年)10月1日付けの政令公布により確定した日程です。すでに2026年4月15日から監理支援機関の許可申請受付が始まっており、制度移行は着実に進んでいます。
外国人を受け入れている企業、または今後受け入れを検討している企業は、2027年を待たず、今から準備を始める必要があります。
育成就労制度とは?まず概要をおさえる
育成就労制度は、2024年6月21日に公布された改正入管法によって創設された新制度です。
「技術移転による国際貢献」を目的としてきた技能実習制度を廃止し、日本の人手不足分野における人材の育成・確保を正面から目的とした制度に生まれ変わります。
技能実習との主な違い
| 項目 | 技能実習(廃止) | 育成就労(2027年〜) |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 技術移転(国際貢献) | 人材育成・人材確保 |
| 在留期間 | 最長5年 | 原則3年(+特定技能へ移行) |
| 転籍(転職) | 原則不可 | 1年後から可能(同一分野) |
| 特定技能との接続 | 制度間の接続が不十分 | 特定技能1号への移行を前提 |
| 監理団体 | 監理団体(要件緩め) | 監理支援機関(要件厳格化) |
| 日本語能力要件 | なし | N5相当以上が来日要件 |
育成就労のキャリアパス(全体像)
【入国】育成就労(3年)
↓ 3年間、同一受入れ機関で就労・日本語学習
【移行】特定技能1号(最長5年)
↓ 特定分野で試験合格・一定水準の日本語能力
【移行】特定技能2号(在留期間更新の上限なし)
↓ 長期定着・永住への道も開ける
育成就労から始めて、最終的には日本に長期定着・永住することも想定されています。外国人を「使い捨て」ではなく、「育てる」制度への転換です。
なぜ今、技能実習は廃止されるのか
技能実習制度は長年、以下のような深刻な問題が指摘されてきました。
- 失踪者の急増(2023年:9,753人)
- 劣悪な労働環境から逃げられない(転職不可)
- 監理団体による監督が不十分
- 送出機関への高額な手数料(借金を背負って来日)
育成就労制度は「外国人を労働者として適切に保護しながら育てる」という発想のもと設計されており、日本の人手不足解消と外国人の権利保護を両立させることを目指しています。
2026〜2027年の施行スケジュール
現在進行中(2026年)
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年4月15日〜 | 監理支援機関の許可申請受付開始 |
| 2026年9月30日まで | 施行日(2027年4月1日)以降に早期開業を希望する監理支援機関の申請目安期限 |
| 2026年9月1日〜 | 育成就労計画の認定申請受付開始 |
2027年以降
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2027年4月1日 | 育成就労制度 正式施行 |
| 施行後〜 | 新規の外国人は育成就労で入国 |
| 経過措置期間 | 現在の技能実習生は一定期間、現行制度で在留可能 |
企業が今からやるべき3つの準備
1. 現在の外国人従業員の在留状況を整理する
育成就労制度の施行に伴い、現在の技能実習生の在留がどのように扱われるかを把握することが先決です。
- 現在の技能実習生は経過措置期間中は現行制度で在留可能
- ただし、施行後の更新・変更時には新制度のルールが適用される可能性がある
まず「誰が、いつ、どの在留期限を迎えるか」を一覧化してください。
2. 「転籍リスク」への対策を労務管理で手当てする
育成就労制度の最大の変化は転籍(転職)が認められることです。
同一の受入れ機関で1年以上就労し、一定の技能・日本語能力を満たせば、同一分野内での転籍が可能になります。
これは外国人の権利保護として重要な一方、企業にとっては「採用・育成コストをかけた人材が1年後に転職する」リスクを意味します。
転籍リスクへの対策として有効なのは、「外国人が辞めたくなる理由」を減らすことです。
- 労働条件(賃金・休暇・残業)を明確化し、適切に管理する
- 日本語学習支援や資格取得支援など「成長できる環境」を整える
- キャリアパス(特定技能→長期定着)を本人と一緒に描く
3. 外国人雇用の「ワンストップ管理体制」を構築する
育成就労制度では、在留資格(行政書士領域)と労働・社会保険(社労士領域)の両方を適切に管理することが不可欠です。
| 管理項目 | 担当 |
|---|---|
| 在留カードの期限管理・更新申請 | 行政書士 |
| 育成就労計画の認定・更新 | 監理支援機関+行政書士 |
| 雇用保険・社会保険の手続き | 社労士 |
| 就業規則・労働条件通知書の整備 | 社労士 |
| 助成金(外国人雇用関連) | 社労士 |
これらを別々の専門家に依頼すると、情報連携の漏れが起きやすく、申請ミスや法令違反につながります。
育成就労制度と社労士の関係:社労士視点からの一言
育成就労制度では、外国人を「労働者」として正面から位置づけています。
つまり、労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法・雇用保険法・社会保険各法が、これまで以上に厳格に適用されます。
技能実習制度で横行していた「外国人だから別扱い」は通用しなくなります。
助成金の観点では、外国人雇用に関連する助成金(人材確保等支援助成金など)は、育成就労制度の施行後も継続・拡充される方向で議論されています。
よくある質問(FAQ)
Q. 現在の技能実習生は2027年4月以降どうなりますか?
A. 経過措置が設けられており、施行時点で在留中の技能実習生はすぐに育成就労への切り替えを求められるわけではありません。ただし、詳細なルールは省令等で随時公表されますので、最新情報の確認が必要です。
Q. 育成就労の受入れには監理支援機関が必要ですか?
A. 直接受入れ(監理支援機関を介さない)も制度上は予定されていますが、要件が厳しい見込みです。多くの企業は監理支援機関を通じた受入れになると考えられます。
Q. 育成就労と特定技能は何が違いますか?
A. 育成就労は「育成(3年間)」を目的とした入り口の制度です。3年後に試験に合格すれば特定技能1号に移行でき、最終的には特定技能2号→長期定着・永住という連続したキャリアパスが描けます。育成就労は特定技能の「前段階」と理解するとわかりやすいです。
ASC行政書士事務所 × ASC社会保険労務士法人のワンストップ対応
育成就労制度への移行は、在留資格(行政書士)と労務管理(社労士)の両方が絡む、複合的な対応が求められます。
ASCグループは「行政書士(入管)+社労士(労務)」を一つの窓口でご対応します。
- 育成就労への移行に向けた現状診断・ロードマップ作成
- 在留資格の管理・更新・変更申請
- 就業規則・労働条件通知書の整備(外国人対応版)
- 助成金の活用サポート
- 外国人従業員のキャリアパス相談(キャリアコンサルタント対応)
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※本記事の内容は2026年6月時点の情報に基づきます。制度の詳細・施行時期は変更される可能性があります。法的判断が必要な場合は、専門家にご相談ください。