特定技能とは
「特定技能」は、人手不足が深刻な産業分野で、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。2019年4月に創設されました。
2025年10月末時点で、特定技能で働く外国人は前年比38%増と急成長しており、外国人雇用の中心的な制度になりつつあります。
特定技能1号と2号の違い
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
| 在留期間 | 通算5年が上限 | 上限なし(更新可能) |
| 家族帯同 | 不可 | 可(配偶者・子) |
| 支援計画 | 必要 | 不要 |
| 永住への道 | 困難(5年上限のため) | 可能性あり |
| 取得方法 | 技能試験+日本語試験 | 2号評価試験 |
| 転職 | 同一分野内で可能 | 同一分野内で可能 |
対象分野(2026年5月時点)
特定技能1号の対象は以下の16分野です(さらに3分野が追加予定)。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業 ※2026年4月より新規受入れ停止中
- 自動車運送業
- 鉄道
- 林業
- 木材産業
新たに追加予定の3分野(2026年1月閣議決定): リネンサプライ、物流倉庫(倉庫管理)、資源循環(廃棄物処理)。技能試験の整備等が必要なため、実際の受入れ開始は2027年頃の見込みです。追加後は合計19分野となります。
注意: 外食業は2026年4月13日から新規受入れが原則停止されています。既存の特定技能1号外国人の更新は可能です。
取得要件
特定技能1号
- 技能試験に合格(分野ごとに異なる試験)
- 日本語試験に合格(JLPT N4以上 または 国際交流基金日本語基礎テスト)
- 技能実習2号を良好に修了した場合は試験免除
特定技能2号
- 2号評価試験に合格(分野ごとに設定)
- 分野によっては班長経験等の実務経験も必要
- 介護分野は2号対象外(介護福祉士ルートへ)
受入れ企業の義務
特定技能外国人を受け入れる企業は、以下の義務を負います。
支援計画の策定・実施(1号のみ)
- 入国前の生活ガイダンス
- 住居の確保・生活支援
- 日本語学習の機会提供
- 相談・苦情への対応
- 定期的な面談の実施
自社で行えない場合は、登録支援機関に委託できます。
定期届出(2026年4月改正)
2026年4月から大きく変わりました。
| 項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 頻度 | 年4回(四半期ごと) | 年1回 |
| 届出期間 | 四半期終了後14日以内 | 4月1日〜5月31日 |
| 新たに必要な書類 | – | 社保・税金の納付状況書類 |
初回届出期限は2026年5月31日です。届出を怠ると受入れ停止のリスクがあります。
申請の流れ
海外から招聘する場合
- 技能試験・日本語試験の合格を確認
- 雇用契約の締結
- 支援計画の策定
- 在留資格認定証明書(COE)の交付申請
- COE交付後、在外公館でビザ発給
- 来日・入国
国内から変更する場合(技能実習→特定技能など)
- 技能実習2号の良好修了を確認(試験免除の場合)
- 雇用契約の締結
- 支援計画の策定
- 在留資格変更許可申請
- 許可後、新しい在留カードの交付
企業が知っておくべきコスト
特定技能外国人の雇用には、ビザ申請費用のほかにも以下のコストが発生します。
- 登録支援機関への委託費(月額2〜3万円/人が相場)
- 社会保険・雇用保険の加入(日本人と同様)
- 渡航費用の負担(企業負担が望ましい)
- 住居の手配
- 在留資格更新手数料(入管法改正案が2026年衆院可決。在留期間に応じて1〜7万円程度になる見込み。具体額は政令で今後決定)
社労士から見た特定技能のポイント
特定技能外国人の雇用では、ビザ申請だけでなく労務管理が重要です。
- 社会保険の適正加入は受入れ基準のひとつ。未加入は受入れ取消しの事由
- 同等報酬要件:外国人だけ賃金が低いのは認められない
- 36協定の届出:外国人にも当然適用
- 助成金の活用:キャリアアップ助成金(正社員化)、人材開発支援助成金(研修費用)
ASC行政書士事務所は社労士法人代表が運営しているため、ビザ申請から社会保険・助成金まで、ワンストップで対応可能です。
特定技能 判定フローチャート
「うちの会社で特定技能を使えるか?」を3ステップで判定できます。
Step 1: 業種は16分野に該当するか?
– → Yes: Step 2へ
– → No: 特定技能は使えません(技人国・特定活動を検討)
Step 2: 外国人は技能試験+日本語試験に合格しているか?(または技能実習2号修了か?)
– → Yes: Step 3へ
– → No: まず試験合格が必要です
Step 3: 自社で支援計画を実施できるか?(または登録支援機関に委託するか?)
– → 自社実施: 支援責任者・担当者の選任が必要
– → 委託: 月額2〜3万円/人の費用が発生
→ すべてクリアできれば、特定技能1号での受入れが可能です。
よくある質問(FAQ)
- 特定技能の外国人は転職できますか?
- 同 一分野内であれば転職可能です。これは技能実習と大きく異なる点です。企業にとっては離職リスクがあるため、処遇改善や定着支援が重要になります。転職時は在留資格変更許可申請が必要です。
- 登録支援機関に委託しないと受入れできませんか?
- 自 社で支援体制を整えられるなら委託不要です。ただし、支援責任者・担当者の選任、日常的な相談対応体制、定期面談の実施などが求められます。外国人雇用の実績が少ない企業は、最初は委託する方が安全です。
- 特定技能2号になると何が変わりますか?
- 最 大の変化は「在留期間の上限がなくなる」ことです。家族帯同も可能になり、永住許可への道が開けます。支援計画も不要になります。ただし、2号評価試験は難易度が高く、実務経験も求められる分野が多いです。
- 外食業の新規受入れ停止はいつまでですか?
- 2 026年4月13日から原則停止中です。再開時期は未定です。既に受け入れている外国人の在留期間更新は引き続き可能です。外食業での新規雇用を検討していた企業は、他の在留資格(技人国での本社管理業務等)を検討する必要があります。